研究課題
前年度、拘束ストレスにより視床下部でのCRH mRNA発現増加がNOX1欠損マウス(NOX1-KO)で抑制することを見出したので、NOX1によるCRH mRNA発現制御を視床下部スライスカルチャーを用いて解析した。Forskolin(10μM,6時間)刺激によるCRH mRNAの発現上昇はNOX1-KOで有意に抑制された。この結果よりNOX1はストレス下においてCRHの発現制御を行うことで不安様行動の増加を抑制することが示唆された。昨年度、社会敗北ストレスによるうつ様行動の増加がNOX1-KOで抑制されることを見出したので、他のストレスモデルであるコルチコステロン(CORT)長期投与によるうつ様行動におけるNOX1の寄与について解析した。CORTの長期投与(35mg/ml in water、21日間)によりうつ様行動(social interaction試験、スクロース嗜好性試験にて確認)の増加と、不安様行動の増加(明暗試験、高架式十字迷路試験にて確認)がWTで認められたが、これらはNOX1-KOで有意に抑制された。うつ様行動の発現に重要な脳部位を両遺伝子群から摘出し、ROS産生量をL-012を用いて比較した結果、CORTによりprefrontal cortex(PFC)においてNOX1依存的なROS増加が認められた。またCORTによりPFC、Nucleus Accambens(NAc)でBDNF mRNAの減少がWTで認められたが、NOX1-KOで認められなかった。新規採択研究課題(基盤研究C)において不安様・うつ様行動発現におけるNOX1/NADPHオキシダーゼの制御機構を明らかにする予定である。
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