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2011 年度 実績報告書

網膜障害条件下でミューラー細胞の細胞周期再開を制御する遺伝子の探索と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22700403
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

須賀 晶子  独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, 研究員 (70450400)

キーワード網膜 / ミュラーグリア / 再生 / 細胞増殖 / マウス系統 / 神経幹細胞
研究概要

ほ乳類成体網膜のミュラーグリア細胞は、正常な網膜では網膜神経細胞の恒常性維持に働いているが、網膜が傷害された場合はミュラーグリア細胞が増殖し、さらに網膜の神経細胞などに分化する事が報告され、網膜神経細胞の再生源として注目されている。われわれは昨年度までの研究で、網膜傷害後にミュラーグリア細胞が細胞周期を再開するかどうかはマウスの系統によって大きく異なることを示した。今年度の研究では、マウス系統間の差を利用し、ミュラーグリアの増殖を促進する遺伝子と抑制する遺伝子のスクリーニングを行った。具体的には、ミュラーグリアの増殖が見られるマウス系統(129)と見られないマウス系統(B6)の網膜の遺伝子発現を比較し、傷害前は129とB6で遺伝子発現量に差が見られないが、傷害後に129で発現量が有意に高くなるものを「増殖促進遺伝子」候補、傷害後にB6で発現量が有意に高くなるものを「増殖抑制遺伝子」候補、とした。このスクリーニングにより「増殖促進遺伝子」としてES細胞や癌細胞で発現が高いクロマチンリモデリング因子Hmga2と、インターフェロンで発現調節される遺伝子群が候補に挙げられた。また「増殖抑制遺伝子」としてはメチルCpG結合タンパクであるMbd1が候補として挙げられた。Hmga2とMbd1はそれぞれエピジェネティックな遺伝子発現調節に関わると考えられており、ミュラーグリアの増殖開始にはゲノム全体の遺伝子発現変化が重要と考えられた。興味深いことに、これまで傷害後のミュラーグリア細胞で特異的に発現してくることが知られていたGFAPとNestinや、網膜前駆細胞のマーカーであるPax6は、B6、129どちらめミュラーグリア細胞でも傷害後に発現が認められた。これらの結果から、本研究により既知の報告では捉えられていなかった増殖に強く関連する遺伝子を選択できたと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では当初の予想と異なり傷害後のミュラーグリアの増殖にマウス系統間の差が大きく寄与していたが、逆にこれを利用して当初の目的である増殖に関連する遺伝子のスクリーニングを行い、ミュラーグリア細胞の増殖と関連してはこれまでに報告されていない遺伝子を選択する事ができた。

今後の研究の推進方策

スクリーニングで選ばれた遺伝子が実際にミュラーグリアの細胞周期を静止状態からDNA複製期へと動かすことができるかどうかの検討を行う。また、増殖の制御機構としてクロマチンの再構築が予想されるが、これらのクロマチン結合因子の発現が網膜傷害後に何によって制御されているのかを検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Genetic influence on Muller glial cell proliferation after retinal damage in adult mouse2011

    • 著者名/発表者名
      須賀晶子
    • 学会等名
      Stem Cells in Development and Disease 2011
    • 発表場所
      Max Delbruck Centrum fur Molekulare Medizin,ドイツ、ベルリン
    • 年月日
      20110911-20110914

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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