研究課題
FOPは200万人に1人の割合で見つかる稀な疾患であり、筋肉や腱、靭帯、関節等が骨化する常染色体優性の遺伝病である。非根治治療ですら極めて困難であるため、FOP発症の分子生物学的機構を詳細に調べることが治療につながる唯一の方法である。昨年度はメダカ熱ショックプロモーター制御下でCreを発現するTgメダカ(Olhsp70::CreCherry)と、複数のプロモーター制御下でloxP配列の組換え後にbmp4やACVR1を発現するTgメダカを掛け合わせることで熱ショックにより筋分化異常を誘導できるTgメダカの作製を試みたが、メダカのhsp70プロモーターでは非熱ショック個体でもCreの極めて弱い発現が見られ、結果として比熱ショック下でも組換えを起こすことが判明した。そこで、本年度はより厳密にCreを制御するため、ゼブラフィッシュのhsp70(Drhsp70::CreCherry)と人工hsp(8xHSE::CreCherry)プロモーター制御下でCreを発現するTgメダカを作製し、非加熱時でのCreの発現を抑えたTgメダカの作製を試みた。Drhsp70::CreCherryは発生初期の段階で一過性に全身でCreを発現する事がわかり、本システムには適用できなかった。一方、8xHSE::CreCherryは非過熱時には蛍光は確認できず、熱ショックによりActB::loxP-dsRed-loxP-GFPメダカで蛍光の変化が見られた。超並列型シークエンサーによりloxP、loxP-Olhsp70::CreCherry、1P-8xHSE::CreCherryのTgメダカの筋組織の全遺伝子発現解析を行ったところ、FOP型ヒトACVR1の発現により発現が変動する遺伝子およそ400個を同定できた。本研究課題で作製したTgメダカは全てメダカNBRPに寄託し、他の研究者が利用できるようにする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
Current Biology
巻: 22 ページ: 601-607
10.1016/j.cub.2012.01.063
Human Molecular Genetics
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