研究概要 |
光受容体であるメラノプシン発現ベクターと、光照射によって転写活性される目的遺伝子発現ベクターを一つのコンポーネントとした、"細胞の光スイッチ システム"を確立することを目指している。今まで薬剤処理や熱処理といった物理的ストレスの高い方法で行われてきた遺伝子発現実験が、光照射という細胞にとってよりストレスの少ない方法で行えるようになる。また、光照射を用いるため、空間的な発現制御が可能である。この技術を用いる事により、細胞間の相互作用や情報伝達、刺激応答などの生体機能解析が可能となる。本年度は、メラノプシン発現ベクター(pENTR-FLAG-mopn4-IRES DsRed)および安定発現株(HEK293等)の作製を行った。また作製したコンストラクトを蛍光指示薬(Oregon Green 488 BAPTA 1,Rhod3)を用い、共焦点顕微鏡システム(NIKON Al System)によりカルシウムイメージング測定を行った。488nmレーザー照射により、メラノプシンの光刺激およびカルシウムイメージング測定を同時に行った結果、有意なカルシウムレベルの上昇が観測された。従って、本コンストラクトの光スイッチ機能が確認された。次年度以降は研究実施計画に沿い、本システムを生物時計研究に応用する。具体的には、メラノプシンを導入した時計細胞の作製や、視交叉上核に発現される事により、細胞間のカップリングやリズム伝達の様子をリアルタイムで観測する事を目指す。
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