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2011 年度 実績報告書

DNA免疫法を用いた霊長類用検出抗体の作成法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22700455
研究機関大阪大学

研究代表者

東岸 任弘  大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20379093)

キーワード熱帯熱マラリア / リスザル / 霊長類 / 検出用抗体 / IgG / cDNAライブラリー / 遺伝子クローニング / モノクローナル抗体
研究概要

サルはヒトと同じ霊長類に属し、医学の基礎研究から前臨床試験において必要不可欠な実験動物として広汎な研究に使用されている。私の主要な研究テーマであるマラリアワクチンの開発では、リスザルを用いた免疫・感染実験によりワクチン効果の検証を行っている。しかし、リスザルはワクチンの効果、安全性を調べる上で必須不可欠であるにもかかわらず、分子生物学的、免疫学的研究が十分に進められておらず、免疫応答を研究するための各種検出抗体などがないのが現状である。そのため、貴重なヒトモデル実験動物であるサルを用いても、十分なデータが得られていない。
これまでに医薬基盤研究所・霊長類医科学研究センターにおいて、マラリアワクチンの開発を目指して、リスザルを用いたSE36ワクチンの免疫とマラリア原虫の感染実験を行ってきた。この過程でマラリア原虫感染前の健常リスザルの脾臓を採取している。本研究ではこの非感染の脾臓からRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作成、および次世代シークエンサーによるシークエンス後、IgG、IgA、IgM遺伝子、CD4、CD8遺伝子などをクローニングした。これまでに、リスザルIgG検出用モノクローナル抗体を作成し、新たな知見を見出した。
霊長類を用いた研究は貴重なデータが得られる反面、繁殖・飼育・実験環境が限られているため研究者人口が少ない。そのため、このような検出用抗体は需要が少なく、商品化されにくい。本研究で得られる成果はリスザルを用いた免疫学・感染症学研究にすぐさま利用可能であるばかりでなく、本方法を応用することでIgG以外のFcレセプターやサイトカインといった免疫関連分子、およびその他の重要な分子の検出抗体の作成が可能となる。本研究により検出用抗体の作成法を確立することは、霊長類を用いた研究の進展に寄与することとなる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、cDNAライブラリーの作成による遺伝子クローニングを計画していたが、次世代シークエンサーによる大規模シークエンシングを取り入れることにより、遺伝子クローニングに割く時間がほとんどなくなった。さらにDNA免疫法を用いたモノクローナル抗体の作成法の確立を目的としていたが、さらに効率的な方法によりモノクローナル抗体の作成を可能とした。リスザルIgGの解析、および作成したモノクローナル抗体を使用することで、新たな知見を見出し、更なる進展が見られた。この知見を元に論文の投稿を準備中であり、学会発表もできた。一方で、当初の目標であるIgA、IgM、CD4、CD8などの検出抗体の作成については、遺伝子のクローニングも終了し、いつでもモノクローナル抗体の作成は可能にした段階で一時中断している。

今後の研究の推進方策

当初の計画よりも早い段階で最初の目標であるリスザルIgG検出用モノクローナル抗体を作成することができた。さらに本研究で開発した抗体を用いた解析により、新たな知見を得ることができた。また、次世代シークエンサーによる大規模シークエンシングを取り入れることにより、当初の計画以上の遺伝情報を入手することができた。このため、当初目標としてきた以上の知見を得、その解析から、免疫系における抗体の役割について解析を進めるようになった。本研究により、次世代抗体医薬に向けた新たな知見を得ることが可能となったが、計画以上に研究が進んだため、試薬等の購入予算が不足している点が問題点である。当初、IgA、IgM、CD4、CD8などの検出抗体の作成を計画していたが、モノクローナル抗体の作成をいつでも可能にした段階で一時中断し、次世代抗体医薬の開発に向けた研究を計画している点が変更点である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Geographic differentiation of polymorphism in the Plasmodium falciparum malaria vaccine candidate gene SERA52012

    • 著者名/発表者名
      Tanabe K, Arisue N, Palacpac NM, Yagi M, Tougan T, Honma H, Ferreira MU, Farnert A, Bjorkman A, Kaneko A, Nakamura M, Hirayama K, Mita T, Horii T
    • 雑誌名

      Vaccine

      巻: 30(9) ページ: 1583-93

    • DOI

      doi:10.1016/j.vaccine.2011.12.124

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antibodies reactive to Plasmodium falciparum serine repeat antigen in children with burkitt lymphoma from ghana2012

    • 著者名/発表者名
      Guech-Ongey M, Yagi M, Palacpac NM, Emmanuel B, Talisuna AO, Bhatia K, Cristina Stefan D, Biggar RJ, Nkrumah F, Neequaye J, Tougan T, Horii T, Mbulaiteye SM
    • 雑誌名

      Int J Cancer

      巻: 130(8) ページ: 1908-14

    • DOI

      doi:10.1002/ijc.26203

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規アジュバント添加による次世代SE36マラリアワクチンの開発と実用化:旅行者用ワクチンへのアプローチ2012

    • 著者名/発表者名
      東岸任弘、青枝大貴、八木正典、有末伸子、片貝祐子、保富康宏、甲斐知恵子、石井健、堀井俊宏
    • 学会等名
      日本実験動物技術者協会北陸支部本部共催講習会第331回
    • 発表場所
      金沢大学学際科学実験センター(石川)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-10
  • [学会発表] リスザルは1種類のIgGしか持たず、サブクラスを持たない2012

    • 著者名/発表者名
      東岸任弘、中村昇太、朴辰幸、片貝祐子、保富康宏、立花太郎、堀井俊宏
    • 学会等名
      感染症若手フォーラム
    • 発表場所
      「やすらぎ伊王島」海の見えるホテル(長崎)
    • 年月日
      2012-02-02
  • [学会発表] Squirrel monkey has a single IgG and no IgG subclasses2011

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Tougan, Shota Nakamura, Chin-Heng Paku, Yuko Katakai, Yasuhiro Yasutomi, Taro Tachibana and Toshihiro Horii
    • 学会等名
      第34回分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      20111213-16
  • [学会発表] 新規アジュバント添加による次世代SE36マラリアワクチンの開発と実用化:旅行者用ワクチンへのアプローチ2011

    • 著者名/発表者名
      東岸任弘、青枝大貴、八木正典、有末伸子、片貝祐子、保富康宏、甲斐知恵子、石井健、堀井俊宏
    • 学会等名
      第7回霊長類医科学フォーラム
    • 発表場所
      研究交流センター国際会議場(茨城)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-18
  • [学会発表] Development of next generation SE36 malaria vaccine formulated with a novel adjuvant : approach to travelers' vaccine2011

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Tougan, Taiki Aoshi, Masanori Yagi, Cevayir Coban, Nobuko Arisue, Yuko Katakai, Yasuhiro Yasutomi, Chieko Kai, Ken J.Ishii, Toshihiro Horii
    • 学会等名
      Nagasaki Symposium on Malaria Biology 2011 (II)
    • 発表場所
      長崎大学(長崎)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-17
  • [学会発表] Development of next generation SE36 malaria vaccine formulated with a novel adjuvant : approach to travelers' vaccine2011

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Tougan, Taiki Aoshi, Masanori Yagi, Cevayir Coban, Nobuko Arisue, Yuko Katakai, Yasuhiro Yasutomi, Chieko Kai, Ken J.Ishii, Toshihiro Horii
    • 学会等名
      第17回日独厘虫病シンポジウム
    • 発表場所
      奈良女子大学(奈良)
    • 年月日
      2011-09-13
  • [学会発表] Development of next generation SE36 malaria vaccine formulated with a novel adjuvant : approach to travelers' vaccine2011

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Tougan, Taiki Aoshi, Masanori Yagi, Cevayir Coban, Nobuko Arisue, Yuko Katakai, Yasuhiro Yasutomi, Chieko Kai, Ken J.Ishii, Toshihiro Horii
    • 学会等名
      IUMS (International Union of Microbiological Societies) 2011 Congress
    • 発表場所
      Sapporo Convention Center, Sapporo Business Innovation Center(北海道)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [図書] マラリアワクチン2011

    • 著者名/発表者名
      東岸任弘、堀井俊宏
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      永井書店
  • [図書] マラリアワクチンの開発2011

    • 著者名/発表者名
      東岸任弘、堀井俊宏
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [備考]

    • URL

      http://www.biken.osaka-u.ac.jp/kenkyu/kansen/Protozool/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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