研究課題/領域番号 |
22700456
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中西 友子 鳥取大学, 医学部, 助教 (10344863)
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キーワード | 前核卵 / 雌雄ゲノム / DNA脱メチル化 / 胚操作 / Bisulfite sequencing / GFP / ゲノムインプリンティング |
研究概要 |
雌雄のゲノムは基本的に同じ遺伝子を持っているが、DNAメチル化といった異なるエピジェネティック修飾を受けるため互いのゲノム機能に差異が生じている(ゲノムインプリンティング)。我々はこれまでに、CAGプロモーターの制御下でGFPを発現する外来遺伝子をメチル化してマウス受精卵の雌雄前核に注入したのち、産仔を得て外来性遺伝子のメチル化状態をBisulfite sequencing法で解析することにより、脱メチル化活性が雄性前核に強く存在のみに存在し、配偶子形成後の前核期においても雌雄のゲノム機能に差異が生じる可能性のあることが示唆している。今年度は、雌雄前核に外来性遺伝子を注入した後、着床前の胚盤胞期胚での詳細な解析を行った(備品としてCO_2インキュベーターを申請していたが、着床前胚での解析のためのマニピュレーターの増設に伴い、フェムトジェットが必要となり購入した)。その結果、脱メチル化が起こる雄性前核に注入した後の蛍光強度は、雌性前核に注入した時より若干強かった。そこで、その胚盤胞期胚における外来性遺伝子のメチル化状態をBisulfite sequencing法で解析したところ、雄性前核に注入したものでは、雄性前核の場合と比較して脱メチル化が促進される傾向にあった。このことから、マウス個体で見られた雌雄前核に注入した外来性遺伝子のメチル化状態の差異は、着床前にすでに確立されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着床前胚1個におけるBisulfite sequencing法の解析システムを確立することができ、雌雄前核に注入した外来性遺伝子のメチル化状態をより迅速に解析できるようになったから。
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今後の研究の推進方策 |
着床前胚1個におけるBisulfite sequencing法の解析システムをより確実なものとすることともに、外来性遺伝子としてインプリント遺伝子を使用したり、阻害剤を利用したりすることで雌雄ゲノムの差異が確立される詳細なメカニズムの解析を進める。
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