研究課題/領域番号 |
22700457
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
川本 善之 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (10410664)
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キーワード | バイオマーカー / RET / 転移 / 血清プロテオーム / 悪性黒色腫 |
研究概要 |
本研究は、メラノーマ自然発症モデルマウス(RETトランスジェニックマウス)を用い、腫瘍関連の新規バイオマーカーを見出すことを目的としている。メラノーマを発症したマウスの血清プロテオーム(アルブミンおよびグロブリンを除去)を二次元電気泳動で展開し、対照マウスサンプルとの差異を比較したところ、腫瘍マウスで発現が高い分子として本年新たに、Apolipoprotein-1を同定した。一方、炎症性サイトカイン発現プロファイルの解析からバイオマーカーとなりうる分子の探索を試みた。悪性腫瘍を発症したRETトランスジェニックマウス(10カ月齢)と同腹同齢マウスそれぞれの血清を採取し、炎症に関与する62種類のサイトカインについて抗体アレイ解析を行った。その結果、RETトランスジェニックマウスで有意な発現低下が認められたサイトカインは見られなかったが、複数の発現上昇が認められた遺伝子(insulin-like growth factor-binding protein(IGFBP)family(3,5,6)およびMacrophage Inflammatory Protein 2(MIP-2))に高い発現上昇が認められた。これらは昨年度本研究で見出した、TNF-αにより発現上昇が認められるRETトランスジェニックマウス腫瘍由来細胞が産生するサイトカインリストにはない分子である。新たなバイオマーカー分子の候補となりうるかどうか、今後、当マウスの血清を腫瘍発症までの間定期的に採取し、これまで見出された分子に絞り、腫瘍の転移・悪性化と相関しているかどうか、in vivoタンパク質レベルで検証を行う
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍を発症したマウス血清成分のプロテオミクス解析、DNAチップ解析から、複数の差異ある分子を同定してきたが、同一個体由来の腫瘍組織片の病変部位と正常部位を顕微鏡下で確認しながらそれぞれレーザーマイクロダイセクション切り出し、比較解析する検討が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
バイオマーカー分子候補の探索を行う上で、マウス個体差について慎重に検討しなくてはならない。今後、可能な限り多くの個体サンプルを、腫瘍未発症期、良性期、悪性期それぞれの時期ごとに確保することが肝要であり、これまで見出したバイオマーカー候補分子が、腫瘍発症、悪性化の予知に利用できるか、精査・検証する。ネガティブな結果も予想されるため、メタボローム解析手法を取り入れ、脂質代謝物を探索対象に組み入れ、成果のバックアップを図る。
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