研究課題/領域番号 |
22700459
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
酒井 宏治 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 研究員 (70515535)
|
キーワード | ウイルス / 感染症 / 実験動物学 / 獣医学 / 動物 |
研究概要 |
(1)カニクザル分離株の配列の決定 カニクイザル感染脾臓乳剤由来、イヌSLAM発現Vero細胞分離株dv及びヒトSLAM発現Vero細胞馴化株hvの末端配列をRACE法により決定した。また、次世代シーケンサーを用いてのH遺伝子等の配列決定も実施した。感染サル体内においても、H遺伝子についてはダイレクトシーケンスで決定した配列と一致した。 (2)レセプター指向性の解析 これまでに報告されている免疫細胞系受容体のSLAMに加え、最近報告された上皮系受容体Nectin4の発現細胞を各種動物(ヒト、サル、イヌ)ごとに作製した。dv及びhvのH及びFを有するVSVシュードタイプウイルスならびにdv及びhvのH及びFの各発現プラスミドを作製した。各動物種、各受容体発現細胞における、(1)生ウイルスを用いてウイルス増殖曲線(2)VSVシュードタイプウイルスを用いてのEntry assay、(3)発現プラスミドを用いてのFusion assayを実施した。それら結果から、(1)SLAMについては、1)dvはヒト型を利用できないこと、2)dv,hv共にサル型を利用できること、(2)Nectin4については、サル型>ヒト-イヌ型で利用できることが明らかとなった。 (3)動物感染実験 サル感染実験ではdvの静脈内接種を実施した。これまでの経鼻接種より顕著に発疹やコプリック班が認められた。しかし、抗体陽転が認められ、実験期間中に致死は認められなかった。実際のアウトブレイク(輸入カニクイザル)では致死が認められたが、SPFカニクイザルへの本実験プログラム(CDV単独実験感染)では致死が認めらないことから、輸送ストレスによる増悪やSRVなどの混合感染、CDVのquasispeciesなどの複合的要因が考えられるが、現時点では明らかに出来ていない。 (4)CDVモノクローナル抗体の作出 複数のCDVモノクロナール抗体を作成した。今後、性状決定を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoのサル感染実験については、施設とサル搬入の都合、確認の追試を含め、予定より時間を要した。一方、in vitroでの実験は、新規上皮系受容体が報告されたが、それら含め解析系を構築できへ計画以上に進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、未実施の小型実験動物(マウス、フェレット、ラット)における病原性の確認ならびに実験動物感染モデルを確立のために、経鼻接種もしくは経口接種、静脈内接種により感染実験を行う。また、既知のイヌ分離株との相違点を明らかにするために、今回、レセプター指向性の解析で用いたシステムを用いて、アミノ酸レベルでの病原性因子の同定を試みる。
|