研究課題
頭皮上で計測される脳波信号より、脳内における活動源を等価電流双極子により推定するためには、一双極子あたり6つのパラメータ(3次元空間における位置情報と双極子の向き)を必要とするため、複数の双極子で近似を行う場合、推定すべきパラメータが増大する。本研究では、双極子の向きを拡散テンソル画像より推定することで、推定における拘束条件を付加し、双極子位置の推定精度の向上を試みた。本研究では、てんかん焦点(発生源)の推定を目標に研究を行った。術前の正確な焦点の推定は、最小限の焦点の切除につながるものと考えられる。ここでは、双極子推定で一般的に用いられている方法である任意の位置に双極子を設定して得られる頭皮上の推定電位分布と実際の脳波計測において得られた電位分布の差を計算することで、それが最小となる推定電位分布を生成する双極子位置を推定された焦点とした。すなわち、推定された電位分布と計測された電位分布の差の関数の絶対値を目的関数とし、最小化する問題となる。この時、任意の位置に双極子を設定した際に、その位置での双極子の向きは、拡散テンソル画像で得られた神経走行方向と一致するようにした。ここで、方向として2方向が考えられるが、目的関数を最小化する方向を選択した。また、最適な双極子の探索において、シンプレックス法を用いた。結果として、探索の初期位置を実際の焦点の近くにおけば置くほどより正確な推定結果を得たが、目的関数のローカルミニマムに陥りやすい傾向を示した。よって、より正確に双極子を推定するには、その位置を限定する新たな情報が不可欠と考えられる。今後は、fMRI等で探索範囲を絞ることにより、この問題を改善もしくは解決できるものと考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Innovative Computing, Information and Control
巻: vol.9, no.10 ページ: 未定