本研究では、光(レーザー光)と光感受性物質さらに細菌やウイルスのタンパクを利用して、免疫を行う光線力学的免疫療法(Photodynamic Vaccination)という新規免疫療法を、マウスを用いて、作用機構や有効性を明らかにし、さらに、本方法の臨床応用に向けての研究基盤を確立することを目的とする。本年度は、リンパ節に特異的に集積する高分子ミセルの作製とその挙動の検証を行った。まず初めに、高分子ミセル作製に必要なPEG-Poly-L-Lysinブロック共重合体の作製を試みた。PEG750とPEG2000を用いて共重合体の作製を行ったところ、PEG750を用いた場合では、これまでのPEGのような取り扱いでは合成しにくいことがわかり、条件の再検証が必要であることが判明した。一方、PEG2000を用いて共重合体の作製を行ったところ、PEG-PLL_<2-61>(PEG2000とL-Lysin鎖が61個結合した共重合体)を得ることに成功した。このPEG-PLL_<2-61>とデンドリマーフタロシアニンを用いて高分子ミセルの作製を行ったところ、DPC:PEG-PLL_<2-61>の混合比が1:0.7の時に粒径68nmのミセルを得ることに成功した。現在、このミセルを用いリンパ節特異的集積性の検証とマクロファージ、好中球への貪食作用の検証を行うとともに、更に粒径の小さなナノミセル作成のためPEG1000やPEG750という鎖長の試薬を用いてブロック共重合体の作成を行っている。
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