研究課題/領域番号 |
22700463
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮崎 幸造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (40372164)
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キーワード | 生体防御 / 治療 / 光線力学的免疫治療 |
研究概要 |
本研究では、光(レーザー光)と光感受性物質さらに細菌やウイルスのタンパクを利用して、免疫を行う光線力学的免疫療法(Photodynamic Vaccination)という新規免疫療法を、マウスを用いて、作用機構や有効性を明らかにし、さらに、本方法の臨床応用に向けての研究基盤を確立することを目的とする。本年度は、リンパ節特異的集積性高分子ミセルの作製とその挙動の検証を行った。PEG-PLL_<2-61>(PEG2000とL-Lysin鎖が61個結合した共重合体)を用いて高分子ミセルの作製を行ったところ、DPC:PEG-PLL_<2-61>の混合比が1:0.7の時に粒径が約70nmのミセルとなった。混合時の温度(37℃)から高温に変化させることにより、粒径は変化するが、単分散性のミセルが得られにくいことから、この温度にて作成したミセルを使用することとした。このミセルを用いて、マクロファージや好中球への貧食作用を検証したところ、取り込まれていることが分かった。現在、抗原提示細胞としての役割を果たしているか検証中である。さらに、抗原提示細胞の1つである樹状細胞への取り込みも検証中である。一方、更に粒径の小さなナノミセル作成のためPEGの鎖長の変えブロック共重合体の作成を行っている。 加えて、腫瘍細胞の細胞抽出液(Cell Lysate)を用いて、腫瘍細胞由来のペプチドにおける免疫原性の有無を検証した。これは、これから行おうとしているペプチドによる免疫療法のためのコントロール実験である。光の強度の適正化が行われていないこともあり、十分な効果は得られなかったが、炎症反応が生じているため、現在、最適な光の照射量を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リンパ節特異的集積性を持たせるため、ミセルの大きさに配慮したpolyethyleneglycolの長さとミセル作成時の混合比率に注力したため、適切なミセルの作製に、時間がかかってしまった。しかしながら、得られたミセルをもとに細胞への取り込み等を早急に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
作成した光増感剤内包ミセルまたはフリーの光増感剤と抗原ペプチドを混合し免疫原性を持たせることができるかどうかの検証、さらに、ウイルス由来ペプチド、結核菌由来ペプチドを用いての検証を並行して行うことにより、効率よく実験を遂行する。
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