本研究では、ニューロイメジング解析技術を手の圧力画像解析に応用した。この「統計的パラメータ・マッピング」(以下SPM)とは、とは、脳血流及び天候パターンのような時間的また空間的に滑らかに変化するデータを解析する高度に洗練された統計手法である。SPMは、元々ニューロイメジング分野にて開発してきた統計手法が、本研究ではバイオメカニクス分野のデータ、特にての圧力分布にも適すかを目的とした。手の圧力分布は、手の解剖的な使い方を表し、バイオメカニクろ的な接触の複雑な力学の一つの例である。脳血流のように空間的に滑らかに変化するが、本研究では、手の圧力分布と脳血流の空間的及び数学的な関連を明らかにした。特に、「流体」と「庄力」という物理学的な考え方を別にし、両方が「滑らかな連続体」という数学的な立場から考えるべきことを明らかにした。そして、様々な手の実験的タスクによるSPMの結果では、今まで分からなかった手のバイオメカニクスの特徴、特に手の解剖的な扱い方も明らかにした。実績は、当初の計画以上に進展した。査読付論文を4枚国際学術誌に提出し、国内外学会にて口頭発表が3件(うち招待講演1件)あり、大学にて特別招待講演が3件あり、そして開発した一次元SPMソフトウェアをオープン・ソース学術ソフトとしてリリースした。最後に、従来の手法よりSPMの方が空間的に及び解剖的にデータを精密に解析できるため、SPMが一般的なバイオメカニクス応用にも適すかと、バイオメカニクス分野でもSPMが標準的解析手法となる可能性はあるかという課題が発生した。今後他のバイオメカニクス応用、例えば、一次元の反力軌跡及び運動学的軌跡、三次元のひずみ/応力分布等へSPMの効果を検討することを狙っている。
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