本研究課題は、パーキンソン病治療を目指した細胞移植治療法に利用できる、移植細胞補助材料の創製を目指したものである。これまでに、移植細胞の生存率が極めて低いこと、移植細胞が組織内で制御できないという問題が明らかになっており、それを解決する材料として、本研究で、細胞移植用補助材料の設計を試みた。これまでに、キメラタンパク質を担持したコラーゲンハイドロゲルの有効性をin vitroで立証し(平成22年度成果)、in vivo試験で、目的通り移植細胞生存率を向上させることができることを明らかにした(平成23年度成果)。しかしながら、更なる生存率向上をめざし、そして、移植細胞の厳密な制御を目指して、材料の改良、そして、新システムの導入をこれまでに行い、その有効性について評価した(平成24年度成果)。 ①細胞接着性キメラタンパク質担持コラーゲンハイドロゲルの創製:本材料を用いることにより、これまで、脳内への移植細胞の生存率5%以下であったのが、40%にまで向上出来ることを明らかにした。 ②作用時機規定型IL10キメラタンパク質担持ハイドロゲルによる移植細胞保護の向上:生体内での細胞生存率が、これまでのIL10キメラタンパク質非担持ゲル材料に比べて亢進する傾向が見られた。また、炎症反応が、比較的早く鎮静化することが分かり、材料の有効性が立証された。 ②生分解性マイクロカプセルのin vivo評価:細胞の機能制御をより厳密に行える材料として、新たにタンパク質精密徐放微粒子の開発を行った。この材料を用いることで、細胞の機能制御を厳密に行えることが明らかになった。
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