研究課題
平成22年度においては、化学的固定法のMR顕微鏡画像への影響の検討、新型プローブの製作と新たな撮像法の検討、MR顕微鏡画像と病理切片画像の合成と比較を行った。現行のMR顕微鏡においては、20μmの等方ボクセルの3次元撮像が可能であるが、撮像時間が20時間と長いため、自己融解の影響を受ける。そこで、化学的固定法を導入し、その影響を検討した。鶏の胚子において、6種類の固定液の違いをNMRスペクトロスコピーにより調べ、水分量の大きさに対する依存性が4%PFAで固定した胚子で高く、70%エタノールで固定した胚子で低いという結果が得られた。異なった固定液を用いて固定された胚子のMRI画像を比較すると、NMRスペクトロスコピーで得られた結果は、胚子中の神経束などの微小構造との関連があることが示唆された。NMRスペクトロスコピーとMR画像の対応や、コントラストについてさらに調べる必要がある。また、メダカにおいて固定液の影響を同様に検討したが、魚類特有の自己消化の早さにより、状態保存の観点から用いることの出来る固定液がダビデソン液のみであることが分かった。鶏の胚子の結果を生かすためにも、報告のあるマイクロ波の照射によって固定速度を早める方法などを検討する必要がある。傾斜磁場コイルとRFコイルが一体となった強化プラスティック製のプローブを作製した。新しいプローブでは傾斜磁場コイルに流す電流を20Aから40Aに増加することができ、これにより傾斜磁場の線形領域の増加が図られている。新しいプローブを用いて、磁場不均一性の補正について検討した。また、長時間撮像の影響を低減させるために、撮像時の磁場勾配印加順序の最適化について検討を行った。さらに、MR顕微鏡における視野の制限を緩和するために、別々に撮像されたメダカの頭部と腹部を画像処理によって合成した。また、メダカの病理切片を作成し、同様の画像処理によってデジタル病理切片画像の構築を行った。病理切片画像とMR顕微鏡画像の比較検討を行った。
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信学技報
巻: 110 ページ: 173-178
Proceedings of the 3^<rd> Biomedical Engineering International Conference
巻: (CD-ROM) ページ: 1-2
生体医工学シンポジウム2010 予稿集
巻: (CD-ROM) ページ: 1-10