抗癌剤を使用しない癌治療として金ナノロッドを用いた治療法が注目されている。温熱治療の際に、熱変換効率の高い金銀コアシェルナノロッドを使用することで、今までの金ナノロッド以上に効率のよい治療法を開発することが期待される。本年度は、Au-Ag nanorodの安全性の確認を行った Au-Ag nanorodを作製、温度上昇効果を確認後に培養細胞で安全性を確認する。実験段階として以下のようにいくつかにわけて確認した。 (i)レーザーを用いて近赤外光を細胞へ照射することにより細胞の影響を検討した。実際に用いるレーザーの強度を検討する必要があり、近赤外光を照射することでの細胞に対して影響がないことを確認した。ナノロッドにレーザーを当てない状態では、細胞に毒性が現れないことが確認された。あわせて、レーザー自体には影響がないことを確認した。 (ii)Au-Ag nanorodの細胞内への取り込みを確認する。Au-Ag nanorodはナノ粒子なので細胞内へエンドサトーシスにより、とりこまれる可能性が高い。そのため細胞内へ取り込まれた後の金銀ナノ粒子の細胞内の影響を時間依存的とAu-Ag nanorodの投与量依存的に観察することにより、細胞毒性が見られるのか検討した。Au-Ag nanorodに蛍光物質を付加した分散剤をコートした。しかし、ナノロッドにコートした蛍光物質を検出することができなかった。そこで、現在用いている分散剤の形状を他の蛍光物質を付加できるようにするため、構造を変更する検討を行った。 細胞培養内の可視化はできなかったが、金銀コアシェルナノロッドの作製と安全性についての確認までは行うことができた。
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