超音波とマイクロバブルの相互作用を、「特定の生体分子を"非接触"かつ"リアルタイム"に計測するバイオセンシング技術」として利用することを目指す。具体的には、特定の生体分子が特異的に付着するマイクロバブルを作成し、生体分子の付着により起こるマイクロバブルの音響特性(共振特性)の変化を計測することで、生体分子の検出を行うものである。 平成22年度では、安全性の面から生体に適用しても問題の無いリン脂質、ポリ乳酸を膜物質として使用し、平均粒径3μm以下のマイクロバブルの作成に成功した。 作製したマイクロバブルの共振特性を計測する手法として二種の計測システムの構築を行った。一つは、マイクロバブルによる超音波減衰の周波数特性を計測することにより、共振周波数を測定するものである(音響的計測)。もう一つは、レーザドップラ振動計(LDV)を用いてバブル振動を直接計測するものであり、測定対象のバブルサイズを変化させることにより共振半径を評価するものである(光学的計測)。当初の計画では高速度ビデオカメラを用いて光学的に計測する計画であったが、撮影システムの空間・時間分解能の問題からLDVを用いる手法に変更した。LDVを用いる光学的手法は、音響的手法と比較して詳細な共振特性を調べる手法として有用である。 音響的計測では、作製したマイクロバブルの共振周波数の測定に成功した。光学的計測では、膜物質を持たず粒径が大きいマイクロバブルで検証実験を行い、理論計算結果と比較することで詳細な評価が可能であることを示した。
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