尿や血液中に存在する生体関連物質(バイオマーカ)を人体外から非接触かつリアルタイムに計測する手法の確立を最終目標としている。当核研究では、超音波とマイクロバブルの相互作用を利用するバイオセンサを提案し、センサとして利用できるマイクロバブルの製作、測定感度・精度等のセンサとしての基礎的特性の評価を行うことを目指した。 提案手法では、抗原(バイオマーカ)が特異的に付着する抗体固定化バブルをバイオセンサとして利用する。抗原の抗体への特異的吸着により変化するマイクロバブルの音響特性(共振周波数)を測定することで抗原の検出が期待できる。 当核年度では、下記の二点について実行した。 (1)バイオセンサとして動作が期待できる抗体固定化マイクロバブルの前駆体の作成 抗原をアビジン・ビオチン結合によりマイクロバブルに固定化された抗体に吸着させることを計画している。ビオチンが組み込みこまれたリン脂質薄膜に内部気体が覆われた構造のマイクロバブルを作成した。 (2)バイオセンサとしての感度・精度を評価するための測定システムの構築 抗原がマイクロバブルに吸着すると、抗原の質量によりマイクロバブルの共振周波数が僅かに変化すると考えられる。この変化量を定量評価するためには、計測精度に優れた観測システムを構築する必要がある。マイクロバブル振動を精度よく観測できるシステムとして、レーザドプラ振動計を用いた計測システムを提案した。また、この観測システムを用いてマイクロバブルの共振周波数の評価が可能であることを実証した。
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