研究課題
制動輻射をプローブとした粒子線治療における飛程モニタリング手法の確立のため、まず、水ファントムターゲット、検出器、コリメータ及び周囲物質での光子の散乱影響の評価をシミュレーションにより行った。この結果を基に測定系の検討を行い、幅4mm 程度のスリットを連ねたコリメータ形状が検出効率及び位置分解能の向上のために適していることを確認できた。さらに、特性X線によるバックグラウンドイベントを低下するためコリメータの材質の選択が重要であることを見いだした。シミュレーションにより得られた結果を基に散乱影響の評価を行うために、スリット型コリメータを装着したプロトタイプ機の開発を行った。密封線源を用いて製作した装置の評価試験を実施し、想定した性能が得られることを確認した。また、光子収量を予測するモデルの考察、二次電子制動輻射による光子放出の計算プログラムの精密化を行った。飛程よりおよそ3センチメートル前方において、予測値は実験値よりも数十パーセント程度小さな値となり実験結果を完全に再現することはできなかったが、本手法で重要となる飛程付近における光子収量の急激な変化については実験結果を再現し、本手法が飛程位置のモニタリングに有効であることが示された。今年度はさらに、これまでの研究開発で得た知見の一部を論文としてまとめ、医学物理分野におけるトップジャーナルである Physics in Medicine and Biology に投稿し掲載された。また、本論文は、出版元である英国物理学会によって Featured article に選出され、高い評価を受けた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phys. Med. Biol.
巻: vol. 57 ページ: 2843-2856
doi:10.1088/0031-9155/57/10/2843