本研究の目的は間歇的伸張法と持続的伸張法を、筋血流量の観点から比較し、その違いを調査した。8~10週齢のWistar系雄ラット(n=5)を用い、両後肢のヒラメ筋・足底筋・腓腹筋・長指伸筋を対象とした。55匹のラットを対照群(C群)と伸張群に振り分け、伸張群はさらに後述する伸張方法で間欲的伸張群と持続的伸張群に振り分けた。間歇的伸張群は血流量測定時刻をずらし、伸張直後(IS0群)、5分後(IS5群)、10分後(IS10群)、15分後(IS15)、30分後(IS60)に分けた。持続的伸張群も同様に振り分け、伸張直後(CS0群)5分後(CS5)、10分後(CS10)、15分後(CS15)、30分後(CS30)とした。間歇的伸張刺激は、10秒間伸張・10秒間弛緩のサイクルで20分間行い、持続的伸張刺激は20分間連続で伸張刺激を与えた。^<201>TlClトレーサーの腹腔投与30分後に安楽死を行い、両側の後肢筋肉群内の5つの筋を摘出し、オートウェルガンマカウンターで放射能測定を行い、オートラジオグラフィー法で筋内のタリウム集積のイメージングを得た。対照群において、ヒラメ筋の取り込み率は長指伸筋より有意に高かった。間歇的伸張群では、IS0群とIS5群において、ヒラメ筋の取り込み率が他の3筋より有意に増加していた。IS10、IS15群、IS30群では群内に有意な差は見られなかった。持続的伸張群では、CS5群とCS10群において、ヒラメ筋の取り込み率が他の3筋より有意に増加していた。CS0、CS15群、CS30群では群内での有意差は見られなかった。ARGで得られた^<201>T1の分布はガンマカウンターの結果と同様、ヒラメ筋の取り込み率が高いことが示唆された。また腓腹筋深部への取り込み率が高いことも観察された。間歇的伸張法では、持続的伸張法よりも血流促進効果が早く出現するという結果となった。
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