研究課題/領域番号 |
22700531
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲岡 プレイアデス千春 金沢大学, 保健学系, 助教 (90507386)
|
キーワード | 廃用性筋萎縮 / 再荷重 / 血流 / タリウム-201 / ラット / 後肢懸垂 / ヒラメ筋 |
研究概要 |
本実験の目的は、異なるストレッチ強度および頻度が廃用性萎縮筋の血流動態に与える影響を検討することとした。Wistar系雄ラットを無作為に対照群(C群)、3週間の後肢懸垂を行う群(HS群)、および後肢懸垂開始2週目から2週間伸張運動を行うA3群(自重の50%の負荷、週3回)、A5群(自重の50%の負荷、週5回)、B3群(最大背屈位まで伸張、週3回)、B5群(最大背屈位まで伸張、週5回)に区分した。実験期間終了後^<201>TlClトレーサーを投与し、その30分後に両後肢のヒラメ筋(Sol)・足底筋(Pla)・腓腹筋(Gas)・長指伸筋(EDL)・前脛骨筋(TA)を解剖摘出した。右後肢筋は湿重量を測定後、放射濃度測定をおこなった。また左後肢筋は凍結試料とし、オートラジオグラフィー法(ARG)によって、近位・中間・速位における^<201>TlClの取り込みの濃度を測定した。各群間での筋の相対重量比の比較、群内での筋ごとの^<201>TlCl取り込み率、部位別の^<201>TlCl取り込み率を比較した。C群にくらべ、全群で体重およびヒラメ筋の相対重量比が有意に低下していた。PlaもSolと同様の傾向をしめした。EDLでは、C群と比べて、HS群・A5群・B3群で有意に増加していた。放射濃度測定の結果では、C群では他の4つの筋に対してSolの取り込み率が有意に高い結果であった。B5群ではPlaに対するSolの取り込み率が有意に高い結果となった。ARGによって行われた部位別比較では、C群Solでは近位部の取り込み率が有意に高いが、HS群、A5群、B5群では近位部の取り込み率が低下した。A3群、B3群では異なる傾向をしめした。Plaにおいては、Con群では中間部の取り込み率が最も高かったが、その他の群では近位<中間<遠位の分布を示した。EDLでは全群で、遠位部の取り込み率がもっとも高く、近位部が低い結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伸張運動方法や伸張運動の強度及び頻度がラット後肢筋群の廃用性萎縮に及ぼす影響を放射性トレーサーによる筋血流の評価を行うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は廃用性筋萎縮モデルラットを用いて伸張運動による血流動態をトレーサー法で行い、並行して細胞の増殖活性を蛋白質レベルで調査し、廃用性筋萎縮の予防に適切な伸張運動法を検証する。
|