外乱刺激に対する姿勢制御戦略として1976年のNashnerらの報告以降、ヒトは外乱付加時に股関節戦略、足関節戦略、ステップ戦略により姿勢保持を行うことが提唱されている。しかし、各関節に作用している筋活動レベルでの詳細な検討はなされていない。ヒトは関節運動に筋が関与しており、筋自体は作用の異なる単関節筋と二関節筋に分かれる。そこで今回、筋活動のレベルより再考することで、リハビリテーションや転倒予防体操で筋力の向上のために筋機能を考慮したエクササイズなど幅広い面に役立つことだ考えられる。 平成22年度は本実験に必要な論文を再度読み込み、予備研究とデータ分析の手法について時間を費やした。FEMSソフトを了徳寺大学の動作解析用PCに導入し、動作解析とFEMS、表面筋電計の同期を確認し、さらに外乱装置を手作りし妥当な外乱刺激を加えることが可能かの検証を行った.FEMSソフトの導入により、床反力のベクトル方向によって下肢筋力の活動動態を単関節筋・二関節筋の活動を計測可能となった。表面筋電計とFEMSの解析結果を比較しても、大きな違いはなかった。試作した外乱装置を利用して被験者1名に対して外乱に対する姿勢制御の分析を行った。中等度の外乱と強度の外乱ともNashnerの股関節・足関節戦略を混合した関節角度の変化を示し、筋活動も特に二関節筋が関節角度の調整する活動を示していた。 また、当大学にあるイクイテスト(外乱装置)と表面筋電計(ノラクソン)を利用して単関節筋と二関節筋の活動動態などを確認した。イクイテストは前後方向に外乱を起す機器であり、試作の外乱装置と同様の活動があるのかを確認した。試作外乱装置とイクイテストで筋電計の計測データの傾向は同様であり、試作外乱装置の利用が可能だと判断できた。 平成22年度の結果を得て、平成23年度に本実験を開始していく。
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