心不全患者において運動療法や行動量の増加による予後や心筋リモデリングの改善効果が示されているが、その機序は未だ明らかではない。本研究は、心不全の心室リモデリングに運動療法および行動量の増加による心筋リモデリングおよび心機能障害の改善効果を検証し、その効果発現機序を明らかにすることを目的とした。心不全の基礎疾患のうち3割を占め、他の基礎疾患より予後が不良である心筋虚血による心不全のモデル動物を用いた。 平成22年度は、虚血性慢性心不全モデルラットの作成方法を確立するとともに、自発的行動量の基礎的データの計測を行った。 虚血性心不全モデル動物は、冠動脈結紮による一過性の心筋虚血負荷処置を行った。虚血処置後、心機能、循環動態、症状、形態学的変化を観察し、組織学的な解析のために、採血と心摘出処置を行った。 動物の自発的行動量は、慢性実験テレメトリー自動計測システムを用いて計測した。麻酔下にて、行動量、心拍数および体温計測用の埋込電極を腹腔内に装着し、処置後すぐから1-2週間、埋込電極を介して、飼育ゲージ内で自由行動中の動物の行動量および心拍数、体温の連続計測を行った。行動解析中は餌と水の摂取は制限しなかった。なお、心筋虚血負荷と行動解析が容易であるためラットを選択した。 22年度は、心筋虚血処置を行った動物の行動量の計測には至らなかった。23年度は、虚血性心不全モデル動物の行動量を計測し、心機能、循環動態、症状ならびに形態学的変化との関連を検討する予定である。
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