今年度嚥下障害者に適した半固形食の物性に明らかにするために以下の研究を実施した。【方法】食品としてはNational Dysphagia Diet Level 1に含まれる均一で咀嚼不要な半固形食を用いた。慈恵第三病院リハビリテーション科に嚥下評価依頼のあったペースト食もしくは半固形食、ミンチ食を摂取中の脳卒中後嚥下障害患者に対し座位で一人につき一品の半固形食を用いた嚥下内視鏡を実施、嚥下に関しては4gの丸呑みを指示し食品ごとに物性と咽頭残留、喉頭侵入、誤嚥の有無と程度を評価した。物性測定はTPU-2C(yamaden)を用い、測定条件はプランジャー:直径20mm、高さ:8mm.シャーレ:直径40mm、高さ15mm.クリアランス:5mm.圧縮速度:10mm/sec.圧縮回数:2回とした。統計学的検定にはWilcoxon検定とKruskal-Wallis検定等を用いた。【結果】今回評価した食品は52品であった。嚥下評価患者52名のFOISの平均値は3.4であった。食品の物性に関しては硬さは1873~19510(平均値9129)N/m2、凝集性は0.13~0.86(平均値0.33)、付着性は2~878(平均値209)J/m3と分布していた。食品物性と内視鏡所見の検討の結果、付着性の増加に伴い残留が有意に増えること、凝集性の違いよって侵入の程度に有意差があること、ガム性の違いによって誤嚥の程度に有意差があることがわかった。半固形食のなかでも物性の違いによって脳卒中後嚥下障害者により適切なもの不適切なものがあることが示唆された。本結果により嚥下障害者に提供すべき半固形食の物性傾向が明らかとなり、より誤嚥リスクの低い食事提供に役立つ情報が得られた。
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