運動療法の客観的な効果検証には、運動に誘発された骨格筋の活用様相を把握と評価が必要となる。本研究の目的は、筋機能的磁気共鳴画像法(muscle functional MRI:mfMRI)による筋の活動評価法を、実践的評価方法として確立させることである。 平成24年度は、「体幹部または肩関節を対象とした運動療法の効果検証を行うために必要な“運動内容と筋活動との関連性”を解明するための検討」のための基礎的検討として、対象筋拡大のための撮像法の改良に関する検討・評価を行った。 我々が考案した新しいmfMRIで使用するT2値計測のための高速撮像法はspin-echo echo-planar-imaging (SE-EPI)であるが、SE-EPIは時間分解能には優れているが空間分解能が極端に低いという問題点も有している。そのため、特に体幹部の筋では大腰筋というある一定以上の断面積を有する筋しか適応ができない。そこで、腹斜筋など薄く断面積の少ない筋へも活用できるための、時間分解能および空間分解能の両方に優れた高速撮像法の適応可否が主な検討内容とした。 検討した高速撮像法は、double-echo steady-state(DESS)である。DESSにより算出されたT2値を標準的なT2値計測法であるmultiple spin echo(MSE)とSE-EPIのそれぞれの撮像法から算出されたT2値と比較した。その結果、人体の軟部組織に近いといわれる模擬物質であるPVAゲルファントム、および大腿部の半腱様筋共に統計処理上の有意差は認められなかった。よって、DESSによる算出T2値は、SE-EPIと同様、筋T2値の計測法として活用できることを確認できた。 以上の結果より、DESSを本手法に用いることで腹斜筋といった薄い筋の筋活動評価へのアプローチも可能であることが示唆された。
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