研究概要 |
本研究では,下肢機能評価システムと足爪異常の評価システムを用いて定量的に転倒リスクを評価する新しいシステムの構築を目的としている.本システムの開発には,歩行能力,下肢筋力,柔軟性,足爪の色情報などの関係を明らかにすることが不可欠である.そのため,平成22年度は足爪の画像から毎回定量的に色情報を抽出するため,撮影位置を一定に保った撮影が可能となる足爪撮影用カメラを作成した.さらに,足爪の定量的な色情報を抽出する計測システムを開発するために,作成した足爪撮影用カメラを利用し,足爪画像から足爪の色の抽出を可能とするアプリケーションを開発した。足爪の色の抽出では,利用者が自由に任意選択でき,選択された範囲内の各ピクセルのRGB値を参照し,各RGB値の平均値も算出できる.また,抽出された足爪の色の情報は,CSVファイルに記録し,エクセルによって解析するができる.しかし,本結果では,全ての被験者に対して同じ場所で撮影したことから,窓からの光やその他の擾乱がなかったため,光の擾乱などからの影響を軽減する方法を検討する必要があった.そこで平成23年度は,HSV表色系を用い,足爪の色の画像を抽出する新たな足爪評価アプリケーションを作成した.HSV表色系は知覚的表色系と呼ばれ,人間の知覚に比較的近い表色系として定義されている.さらにHSV表色系は照明などによる反射や陰影の影響を受けにくいという特徴がある.したがって,高齢者施設など,建物内部で想定される照明の影響については,本アプリケーションを利用することで光の擾乱などが軽減され,定量的な足爪の色情報を計測することができる。
|