研究概要 |
義手の手先具の開閉を行う各々独立した2体系である筋電制御方式とBowdenケーブル方式を融合したハイブリッド方式を提案することで,多機能義手に新たな操作体系と義手ハンドのメカニズムを確立し,より作業性に富んだ義手の可能性について検討する.筋電制御方式とBowdenケーブル方式のそれぞれのインタフェースにより義手ハンドの指先の位置・力の動作精度を調査する実験を行うことで,精密・力把持機能を有する義手ハンドのメカニズム開発のための数値目標(仕様)を明確にする.また,このデータを基に,従来方式と新方式との巧緻性評価試験を行う実験項目を検討する.義手の筋電・Bowdenケーブルハイブリッド制御が随意的な精密把握と力把握の二機能を共存させうる可能性を調査し,ヒューマン-メカトロニクス・インタフェースと多機能義手ハンドの確立を目指す. 本年度は,ハンドメカニズムの一次試作として駆動部に限定し,試作を行い,一次試作機の応答特性を調べた.机上での特性試験を行い,Bowdenケーブル部品の仕様による影響を調査した.これらの実験結果を踏まえ,二次試作(ハンド全体)の設計の修正点をまとめた.また,ソケットの構造・製作法,筋電センサの設定方法,手関節の機械的結合メカニズムについてNorthwestern大やRehabilitation Institute of Chicagoの研究者と議論を行った.義手の操作性を評価するための実験の評価方法について,New Brunswick's International conference on Advanced Limb ProstheticsのAssessment of Capacity for Myoelectric Controlワークショップに参加し,作業療法士とともに講習を受けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究室の移動と,東日本大震災による研究室設備の破損とが重なり,研究室内の使用制限,大幅な修繕等が必要となった.このため,前半期の研究計画が繰り下げられた,年間としての計画に遅延が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
机上実験機用の指部品の設計,試作を行ったが,学部の実習設備では時間を要するだけでなく,十分な加工ができないため,今後は部品の外注化を検討し,実験,設計の時間の確保を優先する.また,評価実験に国際学会でも評価を受けている評価方法を用いるため,作業療法士との協力が必要であることが確認されたことから,大学・リハセンターとの情報交換,技術的な指導を受ける.
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