研究概要 |
脳卒中片麻痺患者は,麻痺のため膝に力が入らず屈曲時の自重の支持ができないことや足関節の背屈動作ができないため遊脚期において足先が上がらず地面に接触し転倒することがある.そのため片麻痺患者は,歩行動作を変え歩行を行っているが,外出を控えて寝たきりになってしまう.そこで本装置は,安全な歩行のために足関節の背屈・底屈動作および膝関節の伸展・屈曲動作を補助し,QOL向上を目指す. 装置は,短下肢装具とアルミで自作した膝関節補助機を併せた歩行補助機で,関節重量の負荷を軽減するために背部に設置したDCモータの動力をフレキシブルシャフトにより関節へ伝達する機構である.しかし,装置の耐久性や剛性に不安があった.そこで,歩行補助機のフレームを汎用性の長下肢装具に変更し,足関節および膝関節が分離可能で耐久性のある歩行補助機にした.さらに麻痺患者に装置を装着させ歩行を行い,支援効果を検討した. 被験者は,片麻痺患者2名であった。その麻痺患者は,“Brunstrom Stage”評価でレベル4の麻痺に該当し,足関節に麻痺の症状が現れている.また,日常生活では,短下肢装具を使用している.本実験は,患者の麻痺状態に適用した補助を行うために短下肢の装置とした.測定は,関節にマーカを付けた被験者が10mのコースを6分間歩行した.さらに歩行中に被験者の側面と正面の動画から股関節の上下幅と内外転角度を計測した. その結果,股関節の上下振れ幅は,麻痺患者の補助機装着時と非装着時の股関節上下幅を比較すると,麻痺患者は補助機装着時の方が非装着時よりも約20[%]減少した結果が得られた.また,補助機装着時と非装着時の回転角度を比較すると,麻痺患者の最大内外転角度は,約15[%]の減少傾向がみられた.この結果,本装置を使用することにより歩行の歩容が改善させることが明らかとなった.
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