研究概要 |
本研究は,"脳卒中片麻痺患者が安全・快適な歩行を行うための意志入力型密着式歩行補助機の開発する"ことを目的とした.脳卒中片麻痺患者は,麻痺のため膝に力が入らず屈曲時の自重の支持ができないことや足関節の背屈動作ができないため遊脚期において足先が上がらず地面に接触し転倒することがある.そのため片麻痺患者は,歩行動作を変え歩行を行っているが,外出を控えて寝たきりになってしまう.そこで本装置は,安全な歩行のために足関節の背屈・底屈動作および膝関節の伸展・屈曲動作を補助してQOL(quality of life;生活の質)向上を目指す.さらに快適な生活のために衣服の下に装着できる装置を開発することで人目に気づきにくい装置にし,日常生活で使用できる装置とする.そこで本装置は,フレキシブルシャフトを活用することで装置の骨格部分を可能な限り小型化し,その特性であるねじりばねの効果を利用して必要なタイミングで力の補助や抵抗を加える.さらに装着者が補助機に動かされているのではなく,自らの意志で日常生活に必要な動作「歩く,止まる,階段を上がる・降りる,椅子から立つ・座る」などができる歩行補助機を開発する.最終的には脳卒中片麻痺患者・リハビリ患者へ適用し,長時間歩行の実現による自立支援やQOL向上を目的とする. 本年度は,昨年度までの装着者からの意見をもとに歩行の周期の変化に対応した制御方法を導入した.今までの歩行制御は,決められた歩行周期のもとに感圧センサにより,歩行位相を把握し,適度な角度制御とトルク補償を行っていた、しかし,歩行者によっては,歩行周期が違うため歩行しづらいとの意見が多かった.そこで,両足立脚期の時間を計測して歩行比から歩行周期の速度を決定する制御に変更した.装着歩行実験の結果,歩行周期が変更できるため歩行しやすくなったとの報告を受けた.
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