研究概要 |
素朴概念とは,学習者が経験的に身につけている知識であり,この知識が新しい知識の習得を妨げたり促進したりしている.本研究では,体育授業において新しく学習する知識・技能の習得に関わる素朴概念を解明し,学習者の所持している素朴概念や技能レベルに応じた学習指導方略を提案することを目的とした.そのため,中学校体育授業におけるバレーボールのオーバーハンドパスの学習を対象に,技能の習得に関わる学習者の素朴概念とその変化について,学習指導方略を考案し,(1)学習者の素朴概念の経年的変化及び(2)素朴概念を修正するための指導方略の効果検証を次のように行った. (1)平成22年10月~平成23年1月にかけて,茨城県内H中学校の1,2年生を対象に,オーバーハンドパスからのアタックを学習内容とし,ドリルゲームやメインゲームを工夫してオーバーハンドパスの試行回数を保障したバレーボールの単元計画(10時間単元)を立案・実施した.H中学校では前年度より検証授業を実施しているため,経年的変化を検証するため,単元前後における素朴概念調査票のデータ及びドリルゲームでの生徒のパフォーマンス映像をデータとして収集した. (2)平成23年1月~2月にかけて,茨城県内N中学校の1年生を対象に,同様の実験授業を実施した.その際,素朴概念を修正するための指導方略として,ドリルゲームにおいてペアでの教え合いが含まれる仲間学習(peer teaching)を用いたMetzler(2000).ここでは,単元前後における素朴概念調査票及びパフォーマンス(映像)データを収集した. 現在,上記2校で収集したデータを分析中である. Metzler, M.W. (2000) Instruction al Model for Physical Education Allyn and Bacon : Boston.
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