研究概要 |
本研究では,体育授業において知識・技能の習得に関わる素朴概念を解明し,学習者の素朴概念に応じた学習指導方略を提案することを目的とした。そのため,中学校体育授業におけるバレーボールのオーバーハンドパスの学習を対象に,技能の習得に関わる学習者の素朴概念とその変化について,学習指導方略を考案し,学習者の素朴概念の経年的変化及び素朴概念を修正するための指導方略の効果検証を前年度から継続して,次のように行った。 i)平成23年11月~平成23年12月にかけて,千葉県内U中学校の1年生を対象に,オーバーハンドパスを主な学習内容としたバレーボールの単元計画(10時間)を立案・実施した.その際,素朴概念を修正するための指導方略として,ペアでの教え合いが含まれる仲間学習(Peer teaching)をドリルゲームにて用いた.また,単元前後における素朴概念調査票及びドリルゲームでの生徒のパフォーマンス映像をデータとして収集した. 2)平成24年1月~2月にかけて,茨城県内N中学校の2年生を対象に,学習内容を発展させた実験授業を実施した.N中学校では前年度より検証授業を実施しているため,経年的変化を検証するための中学2年次のデータを収集した. その結果,単元前後でパフォーマンスを向上させるためには,知識の獲得状況が重要であること,また,知識の安定した獲得には一定の経験や特別な学習指導方略の適用の必要性が示唆された.さらに,素朴概念を修正する学習指導方略として仲間学習を取り入れた介入授業を実施した結果,知識,パフフォーマンスともに変容した。
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