(目的)骨粗鬆症の予防のためには、若年期での最大骨量を高めることが重要とされており、その手段としてhigh impactな運動の実施や血中ビタミンD不足の解消が挙げられている。本研究は、思春期前後の運動(種類・頻度・練習環境)が女子大学生の骨代謝マーカーおよび血中ビタミンDに与える影響について明らかにすることを目的とする。 (方法)平成23年度は、平成22年度に行った女子大学生を対象とした横断調査の結果を基に、現在の運動習慣からの比較、および初経発来時の運動種目(過去)と骨代謝マーカーおよび血中ビタミンDの関連について統計的手法を用いて検討した。 (結果)屋内スポーツ競技者は屋外スポーツ競技者よりも血中ビタミンDが低く、副甲状腺ホルモン(PTH)が高かった。また、屋外スポーツを行っている者でも初経発来時に屋内スポーツを行っていた者は血中ビタミンDが低かった。血中ビタミンDは季節変動があり、特に冬期において低く、屋内スポーツ競技者の多くは慢性的なビタミンD不足の状態であった。また、血中ビタミンDと骨形成には正の相関がみられた。 (考察)本研究において先行研究と同様に屋内スポーツ選手にビタミンD不足者が多いことが明らかにされ、体育館などの屋内で跳躍運動を伴う運動を定期的に行っていても血中ビタミンDの不足が生じ、骨形成に対し影響を与える可能性があると考えられる。また、血中ビタミンDに対しては、思春期前後に実施する運動の種類だけでなく、練習環境(屋内・屋外)といった要因も大きく影響することが示唆された。
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