本研究は、2か年計画の下、初年次教育としてのフレッシュマンキャンプがその後の大学生活へ与える影響を明らかにすることであった。2010年度入学制に対して入学時、フレッシュマンキャンプ後、6か月後、2年後と2年間にわたり、social provisionと大学適応状況、また関連要因と考えられるものを調査した。海外の調査用紙を用いているため、尺度の妥当性・信頼性の検討、尺度の修正のため、他大学でのデータ収集も行った。さらに、修正版調査用紙を用いて、2012年入学生に対してもデータ収集を行った。 分析はまだ継続中であるが、現時点での研究結果のは以下のようにまとめられる。 (1)フレッシュマンキャンプ体験を通して、大学生のsocial provisionは向上し、6か月後、2年後にも維持されていた。(2)大学生のsocial provisionは大学適応と有意な正の相関がみられ、よりsocial provisionが高い学生のほうが、より大学生活に適応していることが明らかになった。(3)入学後6か月においては、大学適応において、social provisionが最も重要な要因であることが明らかになったが、2年後は成績や健康状態などより多様な要因の影響が大きいことが明らかとなった。(4)調査用紙については、日本人の文化的な影響が示唆され、さらなる修正の必要性が明らかになった。他大学データとの比較など、さらなる分析結果を反映させ、改善する必要がある。(5)2012年度入学生については、追跡調査をする必要がある。 今後、結果を反映し、より効果的な初年次教育へと活用していくことが求められる。
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