研究概要 |
本研究は冒険教育プログラムにおける集団が生み出す力や構造として"グループ効力感"に着目し、量的・質的アプローチからグループの形成過程と個々の体験プロセスの相互作用を明らかにすることを目的とし、以下の研究課題を定めている。研究課題1:グループの効力感とその形成プロセスを明らかにする。研究課題2:参加者個々の自己効力感と体験プロセスを明らかにする。研究課題3:グループの形成と個々の体験の相互作用を明らかにする。 平成23年度は研究課題3について、量的手法を用いて冒険教育プログラムにおける参加者の自己効力感と集団効力感の因果関係を明らかにすることを目的に研究を実施した。 研究対象は2011年8月4日から8月18日(15日間)で開催された「ジュニアアドベンチャー15日間」(主催:冒険教育を推進する会)の参加者15名(小学4年生から中学2年生)を研究対象とした。調査内容は、自己効力感の測定を成田らが作成した特性的自己効力感尺度(23項目5件法)を用いた。集団効力感の測定は新田が作成したチーム効力感尺度(9項目5件法)を用い、得点化した。調査時期は、プログラム事前とプログラム事後で実施した。ただし集団効力感の事前は集団がイメージできるよう初日の夜に実施した。分析方法については、各尺度の事前事後の変化はt検定により比較を行った。自己効力感と集団効力感の因果関係を分析するために、交差遅れ効果モデル(Cross-Lagged Effects Model)と同時効果モデル(Synchronous Effects model)を構築して解析を行った。その結果、自己効力感尺度(t(15)=4.89,ns)は、事前と事後で有意な差は見られなかった。集団効力感尺度(t(15)=2.57,p<.05)は、事前よりも事後の方が有意に高い得点を示した。自己効力感と集団効力感の因果関係については、交差遅れ効果モデルで、事前の自己効力感から事後の集団効力感との間で有意に高い標準化パス係数が得られた
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