本年は車椅子バスケットボール選手のパフォーマンスに影響を及ぼすと考えられフィジカル面の評価および測定方法を確立することを目指した。フィジカルチェックのためのテストは車椅子バスケットボールに必要とされる身体的・体力的要素を抽出し、その要素について現場で測定できるような方法を検討した。まず車椅子バスケットボールはコートをダッシュし、ストップ、方向転換(ターン)を繰り返すという特徴を持つことから、それらの高強度の運動をどのぐらい続けることが出来るかを評価することを目的として、20mの往復走を10秒間の休憩をはさんで繰り返し、徐々に往復の時間が短くなっていき、そのスピードアップにどこまでついていけるかを測定した。東京都車椅子バスケットボール連盟に加盟しているNチームの選手が被験者として実験に参加した。結果、もっとも往復を繰り返すことができた選手で7往復、距離で表すと280mという数値であった。障害の重い選手では3往復、120mであった。選手たちの感想からこの結果は全身あるいは筋の疲労によるものではなく、スピードについていけなくなったことがわかったため、設定されたスピードでは本来のフィジカルパフォーマンスを評価できないと判断し、あらたにスピードを設定し直し、再テストをすることとなった。このほか、12分間走、20mスプリント走を測定し、テストの有用性を障害によるクラス別に評価する方法を用いた。さらに実際の試合のパフォーマンスを撮影した映像をもとに分析しており、フィジカルテストの結果と比較する予定である。
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