本研究は車椅子バスケットボールの選手や指導者に対して、トレーニング方法や戦術の開発につながるデータを提供することを目的として、ゲーム分析、フィジカルテストを行った。 車椅子バスケットボール選手13名の身体特性をDEXA法を用いて測定した。測定参加選手の平均年齢は32.7±0.71歳、体重68.9±15.2kg、骨量23.5±4.9、体脂肪量13.6±4.4kg、総筋肉量53.0±11.3kgであった。 車椅子バスケットボール選手の試合中のプレー内容、移動距離、スピード、各走行カテゴリーの占める割合を算出した。車椅子バスケットボール選手はlow speed running (0-4 km/hr)の占める割合が最も高く、ついでmoderate (4-8 km/hr)、high (8-12 km/hr)、sprint (12 km/hr -)の順となった。また障害のクラスでみてみると、high speed runningとsprintを障害の最も重いClass Iの選手が20%、最も障害の軽いClass IVの選手が24%の割合で行っており、予想していたよりも差がなかった。フィールドテストの結果と照らし合わせると、Class IIIおよびIVの選手のほうがアジリティ、パワー、チェアスキルなどで優れていたが、高強度運動を繰り返す能力を測定したYYIRT ver. Wheelchair basketballでは障害の別にかかわらずレギュラークラスの選手の結果が優れていたことが、ゲーム中のActivity profileにも反映されていた。 健常者のバスケットボール(JBL35試合)と車椅子バスケットボール(日本選手権および東日本選手権計33試合)の分析を行ったところ、車椅子バスケットボールの特徴としてシュートの精度が高いこと、ターンオーバーが発生しやすいことが示された。
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