研究概要 |
筋電気刺激法のウォーミングアップ効果について検討するために、本年度は、筋電気刺激の刺激強度および刺激周波数が、筋の力発揮能力に及ぼす影響に関する研究をおこなった。健常成人男性の大腿部前面(大腿四頭筋)を、80Hzの刺激周波数で10秒間刺激すると、筋の力発揮能力は一時的に高まった。その増強度合いは、刺激強度すなわち筋電気刺激による発揮筋力が低い時(最大筋力の20%)は、10秒間同程度の筋力を随意収縮により発揮した際よりも大きかったが、刺激強度が高くなると(最大筋力の40および60%相当)、随意収縮により同程度のウォーミングアップを行った際に比べ小さく、随意収縮に比べ有用なウォーミングアップツールにはならないことが示された(研究1:MiyamotoらMuscle Nerve 2011)。一方、研究1で用いた刺激周波数(80Hz)よりも低い周波数(20Hz,40Hz)で大腿部を刺激した際は、最大筋力の40%以上の強度であっても、随意収縮と同程度の増強効果が得られることが確認された(研究2)。以上のことから、低程度から中程度の刺激周波数での筋電気刺激は、筋の力発揮能力に対して、随意収縮と同程度の増強効果を有することが示され、筋の力発揮能力を一時的に高めるためのウォーミングアップツールとして有用であることが示唆された。本年度の研究から得られた最適な電気刺激プロトコルが、実際に随意収縮による動的発揮筋力に対して有用なウォーミングアップ効果を有するか否かを検討することが今後の課題である。
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