研究概要 |
本研究は、ラットの培養骨格筋細胞を対象として、細胞内りミオグロビンの発現量を過剰にした場合のミオグロビンタンパク分子の細胞内局在の変化について、特に、ミオグロビンによる酸素の供給先である、ミトコンドリア、およびミトコンドリアタンパクとの相互作用の可能性の有無について明らかにするべく生化学的、分子生物学的検討を行うことを目的とするものである。 昨年度は本研究に用いる解析手法のプロトコル確立のため実験を主として実施し、筋ホモジネートをサンプルとして用い、ミオグロビン、およびミトコンドリアの標的タンパクに特異的な抗体を用いたウェスタンブルッティング法によるタンパク発現の定量的な検出手法を確立した。 本年度はラット由来のL6培養筋芽細胞において、ミオグロビンの過剰発現モデルの構築と、mRNAの発現解析を行うための定量RT-PCRり分析手法を確立した。筋より抽出した細胞内総RNAをサンプルとして、ミオグロビン、およびミトコンドリアの標的タンパクについて、定量RT-PCRによるmRNA発現量の定量的分析が可能となった。また、培養筋芽細胞株を対象とした実験においては、ミオグロビンの発現を増加させたL6培養筋芽細胞において、分析を行ったいくつかのミトコンドリアタンパクについて、発現の増加が認められた。しかしながら、全体的にはミオグロビンタンパクの発現量とミトコンドリアの標的タンパクの発現量との間には一定の傾向を見出すことが出来なかったことから、ミオグリビンとミトコンドリアタンパクとの相互関係の有無については,本研究より得られた成果内では結論を出すには至らなかった。今後、使用する培養骨格筋細胞の培養条件や、対象とする培養骨格筋細胞の生物種等を再検討することにより、より確実で再現性の高い実験系を確立し、引き続け検討をつづける予定である。
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