研究概要 |
本研究の目的は,運動時の換気および呼吸調節系の動態が,循環調節に及ぼす影響について,次の2点を明らかにすることであった. 1)呼吸調節系である末梢化学受容器を介した循環系への影響, 2)運動時の呼吸筋の疲労が.循環動態へ及ぼす影響. 実験1:常酸素(酸素濃度21%)および低酸素(酸素濃度12%)を吸入しながら,最大運動の40%および60%強度での自転車運動を実施した.低酸素ガス吸入における運動時の筋交感神経活動(MSNA)は,常酸素ガス吸入時より有意に高くなった.この筋交感神経活動の変化は,血漿ノルエピネフリンの変化と一致しなかった.この結果から,低酸素による末梢化学受容器への刺激は,運動時の交感神経活動を増加させること,低酸素環境における運動時のMSNA,血漿ノルエピネフリン濃度の変化とことなることが明らかとなった. 実験2:最大運動の40%強度運動中に,吸気抵抗を増加させ循環動態を観察した.吸気抵抗の増加は, MSNAおよび血圧の有意な増加を引き起こした.これらの結果から,運動時の呼吸筋の疲労が,循環系へ影響を及ぼすことが明らかとなった.
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