【目的】本研究は、伸張性収縮運動後の筋冷却が筋損傷の軽減ならびに筋機能の維持に効果を発揮するのかを検証した。 【方法】健常男性7名(平均21歳)を対象に、伸張性肘屈曲運動を最大拳上重量の80%の重さで、10回5セット実施した。運動前後で、筋機能の評価、MRIによる筋損傷の評価、ならびに上腕部の痛みの評価を行った。すべての被験者は、運動後に、上腕部を無処置にする条件と冷却する条件(氷嚢で20分間)に参加した。筋機能は、等速性筋力測定装置を用いて、60°/sにて最大肘屈曲筋力を、そして180°/sにて肘屈曲の筋持久力(反復回数30回:1-5回の平均トルクに対する26-30回の平均トルクの変化率)を評価した。筋損傷の評価には、MR装置を用い、上腕二頭筋のT2値を算出した。上腕部の痛み評価には、Visual analog scaleを用いた。なお、測定値の比較には対応のあるT検定を用い、運動前と運動2日後で比較した(有意水準5%未満)。 【結果】無処置条件は運動2日後で最大筋力が低下する傾向を示したが、両条件ともに運動2日後で有意な最大筋力ならびに筋持久力の変化を示さなかった。同様に、T2値に関しても両条件で有意な変化は認められなかった。その一方で、Visual analog scaleの値は、両条件において2日後で有意な上昇を示した。 【結論】本研究において、伸張性収縮運動後の筋冷却は、運動後に生じた筋痛に対して顕著な介入効果を示さなかった。
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