研究概要 |
低圧低酸素下では換気量が増大する.そのために呼吸筋群の活動レベルが高まり,呼吸筋の仕事量は通常酸素下よりも増加することが考えられる.一方で,高所では気圧低下に伴う空気密度が低下するため、気道での物理的な抵抗が低下するため呼吸筋群の仕事量に影響することが予想される.しかしながら低圧低酸素下では運動時の呼吸筋群の仕事量は,十分に明らかでない.そこで本研究では,呼吸筋群の活動に注目して低圧低酸素下での空気密度の低下や酸素分圧低下が運動時の呼吸循環応答に及ぼす影響を調べることを目的として、気道抵抗や酸素分圧(酸素濃度)の違いにより高強度運動時の呼吸筋群の仕事量はどの程度変化するか、それが活動筋の酸素化動態にどのような影響を及ぼすかについて検討する.前年度において、低酸素下では呼吸筋の仕事量が最大運動時で増加することが観察された。 平成23年度は、高所における大気密度の低下の影響をモデル化したヘリウム混合ガス吸入による運動時の呼吸筋仕事量を調べた。その結果、最大運動時の換気量はヘリウムガス吸入により増加し、有酸素能力も向上した。呼吸筋の仕事量は換気量増大にもかかわらず、変化しなかった。筋酸素化動態についての結果は解析中である。これらの結果から、吸入する気体の密度が低下することによる運動時の生体反応が明らかとなり、高所トレーニングなど高所での運動能力低下について呼吸筋が関係することが明らかとなった。
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