近年、microRNA(miRNA)が様々な生命現象に関わることが明らかにされてきているが、筋萎縮における役割についてはほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、培養細胞の筋萎縮モデルを用いて、筋萎縮に関与するmiRNAを同定し、その分子機構を明らかにする。また応用研究として、miRNAの機能を指標に、筋萎縮を抑制するファイトケミカル(植物に含まれる二次代謝産物)の探索も行う。22年度においては、筋萎縮時に発現変化を示すmiRNAを同定するために、分化誘導後のC2C12細胞にデキサメタゾン処理を行い、miRNAを含むRNAを精製し、miRNAマイクロアレイ実験を行った。現在、詳細なデータ解析を行っている。また、miRNA標的遺伝子予測データベースを利用し、筋萎縮関連遺伝子のAtrogin-1またはMuRF1を標的とする可能性があるmiRNAを2種類選抜した。今後は、マイクロアレイ解析で同定したmiRNAとデータベースから選抜したmiRNAの筋萎縮における役割を明らかにする。具体的な方法として、miRNAの前駆体または阻害剤をC2C12細胞に導入し、デキサメタゾン処理によるAtrogin-1、MuRF1の発現上昇、筋管細胞の直径低下抑制を評価する。また、マイクロアレイ解析で同定したmiRNAに関しては、標的遺伝子の同定も行う。昨年度に引き続き、Atrogin-1遺伝子の3'-UTRのmiR-23a結合領域の配列を導入したルシフェラーゼレポーター遺伝子を作製し、miR-23aによるAtrogin-1発現抑制活性を指標にファイトケミカルのスクリーニングを行う。
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