研究課題
筋萎縮で発現変動を示すmiRNAを同定するために、分化誘導したC2C12細胞を2種類の筋萎縮誘導剤(ステロイド:デキサメタゾン、高脂血症薬:ロバスタチン)で処理し、miRNAマイクロアレイ解析を行った。デキサメタゾンでは、6時間処理で2種類、24時間処理で9種類のmiRNAの発現が変動した。一方、ロバスタチンでは、6時間処理で5種類、24時間処理で19種類のmiRNAの発現が変動した。6種類のmiRNAが共通の変動を示し、この中で最も発現変動が大きかったmiR-1224は、デキサメタゾン処理6時間で2.6倍、24時間で2.2倍に増加し、ロバスタチン処理24時間で2.0倍に増加していた。しかしながら、定量RT-PCRでは、これらのデータの再現性は十分には得られなかった。実験条件の改良に取り組んだ結果、miR-148aの発現が、デキサメタゾン処理で低下することを見出した。分化誘導したC2C12細胞にmiR-148aを導入したところ、miR-148aはミオシン重鎖のタンパクレベルを低下させ、myotubeの形態異常を引き起こした。このことから、デキサメタゾンによる筋萎縮の誘導に伴い、miR-148aの発現が代償的に抑制されているものと考えられた。我々は先に、前立腺癌細胞でセリンスレオニンキナーゼであるmitogen-and stress-activated kinase1(MSK1)がmiR-148aの標的遺伝子であることを報告しているが、分化誘導したC2C12細胞において、デキサメタゾン処理によりMSK1のタンパクレベルが増加し、それはmiR-148aの発現と逆相関していた。本研究により、miR-148aが筋萎縮促進作用を有する可能性が示唆され、さらに詳細な機能解析を行うことにより、筋萎縮の予防や治療における分子標的としての有用性を検証できるものと考えられた。
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