主として4年間5回の追跡データを用いた分析を中心に行った。職場環境変数とsense of coherence変数およびwell-being関連変数について、5時点の成長曲線モデルに当てはめて、その切片と傾きの各変数の間接効果、直接効果について検討を行った。検討の結果、全サンプル(労働者)に対して、調整変数を用いて調整した形のモデルでは十分なモデル適合度を得ることができなかった。そこで男女別にサンプルを分けて、別途モデル構築及び適合度指標の吟味を行ったところ、男女間でモデル構築に若干の違いは生じたものの、データ適合度としては、両性ともにCFI=0.92 RMSEA=0.04という値を得るに至り、最終モデルとすることができた。 男女ともに、仕事のコントロールおよび、仕事のスキル向上の機会がsense of coherenceとの関連を切片同士でみせていた。さらに、スキル向上の機会の向上がsense of coherenceの向上と関連を示していた。また、両性で仕事の不安定性の増加がsense of coherenceの低下と関連を示していた。 他方で男女間のモデルの違いについては、女性のみでワークライフバランスのコントロール度の切片および傾きがsense of coherenceの向上(傾き)に関連していることが明らかとなった。 sense of coherenceとwell-being指標との関連性は、すべての変数間(senseof coherenceの切片、傾き、well-being変数の切片、傾き)の関連性に関するすべてのパスにおいて有意であり強い関連、時間的な変動の関連性がみられていることが明らかとなった。
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