本研究では、健康・体力づくりに関する中核的人材の養成、専門家と養成された中核人材や健康支援の必要な人を結ぶポータルサイトの開発によって、健康・体力づくり遠隔支援システムを構築することを目的とした。 平成22年度の成果を基に、本年度はスクエアステップの遠隔支援ソフトウェアを開発した。長崎県時津町にて、介護一次予防者および二次予防者の両者を含めたスクエアステップ教室を開催した。同時に元気高齢者を対象に運動リーダー養成講座も開催した。スクエアステップ教室は、3ヵ月間、合計10回、1回あたり90分の教室であった。1教室あたり30名を募集し、1年間に3教室を実施した。運動リーダー養成講座は週1回、合計3回の講座として、その後は、スクエアステップ教室での指導補助として参画させた。スクエアステップ教室終了後は、開発したソフトウェアを活用して、リーダーと参加者が自主サークルを形成し、自主的に運動を実践できるように働きかけた。その結果、3ヵ所で自主サークルが形成され、スクエアステップを継続して実践できるようになった。開発したソフトウェアには参加者の出欠、課題クリアの有無が保存されるようになっており、定期的に実践者の状況が研究者側からも把握できた。また、スクエアステップ教室前後で、体力測定(高齢者に適した11項目)と認知機能測定(ファイブコグテスト)、主観的な健康度などのアンケート調査を実施した。教室前後で、体力年齢は、平均3~5歳若返り(P<0.05)、認知機能のスコアも向上した(P<0.05)。教室終了後、自主活動になってから3ヵ月後のデータも一部で収集し、体力項目および認知機能の維持が確認できた。 本研究から、運動による高齢者のコミュニティーを育成できるとともに、中核人材(リーダー)を中心に遠隔支援ソフトウェアを活用しながら運動を継続して実践できること、さらには体力・認知機能の維持・向上が確認でき、健康・体力づくり遠隔支援システムを運用できるまでに至った。
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