研究概要 |
本研究では,メタボリックシンドローム患者を対象としてセルフモニタリングを含む認知行動的介入を実施し,その効果を多面的に検討した。研究の対象は,長崎大学教職員定期健診を受診しMetSと判定された162名の成人のうち,研究参加の同意が得られた12名(平均年齢:54.8±8.0)であった。介入期間として12週間を設定し,介入前後のアセスメント結果の比較をおこなった。介入の内容は個人介入,歩数計のセルフモニタリング,集団介入の3点から構成された。個人介入では,通常保健指導を実施した。集団介入は,病態,栄養,運動,心理についての教育を実施した。 このような短期介入の実施による成果は、いくつかの身体指標面でみられた。体重については,介入により平均約3kg減となった(p<0.05)。収縮期血圧についても,介入前に比べて介入後には約8mmHg減少した(p<0.01)。生化学検査については,介入によりALT(GPT)の値が約4U/L減少した(p<0.05)。また,高分子アディポネクチンは介入により約0.8μg/dl増加した(p<0.01)。 本研究でおこなった3ヶ月間の介入は,内臓脂肪を減少させる効果的なプログラムであったと考えられる。短期介入の効果指標として,高分子アディポネクチンが有用である可能性がある。 今後の課題としては,本介入には,歩数計のセルフモニタリング,目標設定,心理・教育的アプローチの要素が含まれた。今後,どの要因がより効果的であったのかを検討する必要がある。また,半年後,1年後の追跡調査により,本プログラムのリバウンド抑制効果の検討が必要である。
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