研究課題/領域番号 |
22700674
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河村 洋子 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 准教授 (00568719)
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キーワード | 性・エイズ教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、高校生の「性の健康」を目指した全人的なアプローチによる健康教育プログラムの実現に向けて、(1)社会心理学、行動学理論に基づいた高校生の性に関する特徴の把握と、(2)(1)によって把握した高校生の文化的・社会的価値観をもとに、Entertainment-Education(EE)とTailoringの手法を用いて、複数のメディアを活用した「クロスメディア」による高校生の性教育プログラムを開発し、(3)その効果を検証することである。 平成23年度は、前年度までの調査結果を踏まえ、対象聴取者にも含まれる大学生、高校生を含む若者の参加と地元マスメディアの強力なサポートを得て、8つのストーリーからなるオムニバス形式のEEラジオドラマを制作した。具体的には、ラジオドラマの台本を執筆する大学生ラーターズチームの構成と実動、オーディションによる地域の若者のキャストとしての参加、そしてFM熊本の制作技術の提供であり、制作プロセス自体が有意義な学びとなった。Tailoringプログラムの開発は着手が遅れたが、現在急速に進めており、平成24年度6月から2ヶ月間予定されている放送開始にあわせて、相互リンクしたクロスメディアプログラムを完成させ、最終年度のプログラム評価活動に向けて準備を整える。 本年度の成果の中で最も強調すべき点は、わが国で初めての事例となるEEプログラムを参加型で推進したことである。プロゲラムの効果の検証は最終年度の課題であり、最終的な研究活動の意義はその結果を踏まえたうえでの議論になるが、開発プロセスの取り組み自体がヘルスプロモーションの観点から重要であることが確認でき、このプロセスを記述し、意義と重要性を研究成果として示していくことも課題の一つであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な部分となるラジオドラマの制作に関しては、順調に進んでいるが、テイラリングプログラムの開発に若干の遅れがあり、現在集中的に開発を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、マスメディアを活用するプログラムの効果について精度の高い評価研究を実施することを目指す。わが国では先行事例の少ない、先進的な方法を活用する研究デザインを検討中である。この研究デザインは、当初予定していたかたちではなく、現実性を踏まえて修正、変更し、マスメディアを活用したプログラムの評価という目的を達成できるように柔軟に対応する。
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