研究課題/領域番号 |
22700675
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
石橋 裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50458585)
|
キーワード | 介護予防 / 作業療法 / 外出行動 / ライフスタイル / 地域支援事業 / 作業的不公正 / 人間作業モデル / QOL |
研究概要 |
QOLの状態を高い水準で維持することは、健康増進にとって重要なことである(オタワ憲章)。QOLは疾患や障害だけでなく、その人のライフスタイルが関連している。QOLとライフスタイルとの関係を考慮する際、実際の「活動状況」に焦点をあてた方法と活動に対する「意味」に焦点をあてた方法の2種類があり、それらは分けて検討する方が望ましいとされている(Eklund,2004)。これまでの研究では、「外出しない」ライフスタイルが問題とされていたが、活動に対する「意味」を聴取した報告はなかった。我々は、平成22年度に東京都荒川区A地区に在住する5135名に対し、活動状況と作業の意味に関するアンケート調査を行った。その結果、要介護認定を受けておらず、疾患や障害もない高齢者607名を活動状況と活動への意味づけで分類した結果、「自分にとって大切な活動を毎日行っているが、外出してない高齢者」の方が「重要でない活動を毎日行っているが、外出はしている高齢者」よりもQOLが高いことが明らかとなった。 平成23年度には、外出が1週間に1回未満と回答した高齢者を対象に、訪問調査を行った。その結果、アンケートでは「外出は1週間に1回」と回答していたにもかかわらず、実際は毎日外出していることが明らかとなった。また、毎日行っている作業への意味づけを聴取した結果、「その活動をうまくできなかった」など、ネガティブな印象を持っていることが明らかとなり、その結果は我々の先行研究とも一致した(石橋ら、2010)。 当初の予定では、閉じこもりを予防することが重要であると仮説し、その支援策を検討してきたが、これまでの調査により、プログラムを展開する際は、活動の「意味づけ」が低い高齢者が真の対象者であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているが、当初の計画から大幅に軌道修正が必要であることも明らかとなった。これまでの閉じこもり研究では報告されていなかった事実が明らかとなったため、最終年度である本年度は、プログラムを実施する対象者も含めて慎重に行っていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、閉じこもりを予防することが重要であると仮説し、その支援策を検討してきたが、これまでの調査により、プログラムを展開する際は、活動の「意味づけ」が低い高齢者が真の対象者であることが示唆された。したがって、「訪問型・閉じこもり予防プログラム」の対象者はあらゆる高齢者であり、訪問型と施設型を組み合わせた「ハイブリット型」であることが望ましいと考えられる。現在の我々の調査は、郵送調査から開始しているため、真の閉じこもりの高齢者は含まれていないと思われる。今後の研究では、開発中のプログラムの対象はどのような高齢者なのか、明確にしていきたい。
|