研究概要 |
社会福祉法人いなほ会(保育児童数約150名:さいたま市桜区)および社会福祉法人宮原ハーモニー(保育児童数約150名:さいたま市北区)と協力し,2~5歳の幼児に対して,午睡時間のコントロール調査を行ってきた.コントロールは,午睡時間を通常時(約2時間)および抑制時(約1時間)とし,それぞれ2週間実施したのち,CBCLアンケート調査票により問題行動量の変化を抽出した. その結果,午睡時間の抑制が問題行動のいくつかを減少させる結果となった.とくに,4~5歳児では,不安性や依存性に関して問題行動が顕著に減少していることから,この年齢で午睡を2時間おこなうことに対しては,保育の現場に対して再考を促したい.これらについて,日本発育発達研究誌へ投稿準備中である. 幼児期に精神的に安定して過ごすことで,家庭全体へのQ0Lの波及的影響は別途評価しなければならないが,安定した生活習慣等が,学童期~少年期を経て成人後にどのような形で影響していくのかを将来的に検討していく必要がある.これには本来,prospectiveな手法が最良ではあるが,今回,予備調査として,アンケートによる後ろ向き調査をおこなった.本調査は,大学生を対象とし,現在(18~20歳)と10歳ごろの学童期の生活習慣に関して回答を求めたものである,大学における学業成績により2郡に分け,高GPA群と低GPA群で比較を行った. その結果,高GPA群で親の介在時間が有意に遅く,睡眠時間が短く,勉強時間が長い,部活時間が多いなどの傾向がみられた.また,両群間で就床時間に差がなく,親の介在時間については有意に高GPA.群で遅かったことから,自己管理仮説とマイペース仮説の二つの仮説を示した.これらについて,2011年10月の日本睡眠学会で報告をおこなった.
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今後の研究の推進方策 |
調査への協力者を集めることが,一番の問題点である.2012年は本研究の最終年度であるため,取りまとめを進めるとともに,比較のためのデータが不足する部分(2~3歳児)について,再調査が行えるよう,マネージメントを行う.
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