研究概要 |
本年度は、我が国の子どもの身体活動を推進するために、身体活動に影響を及ぼす環境的要因を明らかにするための研究を行った。特に、学校内の身体活動に着目し、学校環境評価尺度を作成し、環境要因の違いによる身体活動時間の差を検討した。調査は、小学生の子どもをもつ20歳から59歳の保護者1,074名を対象にインターネット調査にて実施した。調査項目は、子どもの学内の中等度以上の身体活動の実態について、業間の休み、昼休み、放課後学内で実際に体を動かしている時間(分)を調査した。また、学内の環境要因は、子どもの学内の身体活動を支援するための施設や用具、安全性に関する合計15項目を調査した。学内の身体活動時間は、業間の休み時間は男子で平均11.4分、女子で10分、昼休みは男子で20.6分、女子で19.1分、放課後の学内での身体活動は男子で25.4分、女子で18.7分であった。因子分析の結果、学内環境評価尺度は、3因子合計10項目(用具因子:3項目、施設因子:4項目、安全性因子:3項目)から構成された。性別に年齢を調整し、学内環境評価得点の高群低群による身体活動時間(分)の違いを共分散分析にて検討した結果、男子では、昼休みの身体活動時間は、用具因子および施設因子の得点が高い方が長く、放課後の学内活動時間では、用具因子の得点が高い方が長い傾向が認められた。女子では、昼休みの身体活動時間は、安全性因子の得点が高い方が長く、放課後の学内活動時間では、用具因子、安全性因子の得点が高い方が長いことが認められた。本研究の結果から、学内の身体活動に影響を及ぼす環境要因は、昼休みや業間休み、放課後により異なることから、子どもの学内の身体活動を推進するためには、これらの場面により異なる環境要因に着目し支援を行っていくことの必要性が示唆された。
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