研究概要 |
インターネット等の科学技術を個人や集団の健康増進に用いることはeヘルスと呼はれ、近年、注目を集めている。一方でインターネット上の健康情報の中には、信頼性の乏しい情報や健康関連商品の宣伝に関する情報も混在しているため、利用者が不利益を被る危険性がある。そのため、インターネット上の健康情報を利用する者にとって、インターネット上の健康情報を適切に活用する能力であるeヘルスリテラシーを身につけることは重要であるが、我が国ではeヘルスリテラシーを測定する尺度すらないのが現状であった。本研究では欧米において既に開発されたeHealth Literacy Scale(eHEALS)の日本語版を作成し、我が国におけるその妥当性、信頼性を検討したうえで健康関連項目との関係性を明らかにすることが目的である。社会調査会社にモニタ登録しているインターネットユーザー3,000名(男性:50%、平均年齢±標準偏差:39.6±10.9歳)を対象として横断的に調査を実施した。eHEALS日本語版は我が国における成人のeヘルスリテラシーを測定するために十分な信頼性と妥当性を有する尺度であることが確認され、男性より女性、20代よりも40代50代、低収入世帯よりも高収入世帯でeヘルスリテラシーが高い傾向にあることがわかった。また、eヘルスリテラシーが高い者は低い者よりも健康に関する情報を得るためにインターネットだけでなく、新聞などといった多様な情報源を活用していた。今後はさらに、eヘルスリテラシーが個人の健康状態や健康行動に及ぼす影響を明らかにし、インターネット上の健康情報を有効に活用するためにeヘルスリテラシーが果たす役割を明確にしていく。
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